第40回俳人協会賞本賞受賞!
◆ふらんす堂俳句叢書 現代俳句12人集
花冷えの田より抜きたる足二本
私の住む所から車で二十分ほどの位置に日本海がある。海には太初の色と匂いがあり生の鼓動が伝わる。あらゆる生物のパワーの源がこの大海に秘められている。
◆収録作品より
荒海の佐渡が大きく初日浴ぶ
馬繋ぐ幹太々と淑気満つ
どの家も海をうしろに鳥総松
良寛の墓へ十歩の龍の玉
あたらしき雪が空より父の墓
茹で蟹の湯気に雪舞ふ寺泊
寒鯉の背鰭が桶の水の上
雪靄に眉目を濡らし葱を抜く
雪止んですぐに湯気立つ荒鋤田
雪解けや湯釜のやうな信濃川
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[もとみやてつろう(1930〜)「河」「麓」「海峡」同人]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
220頁
2000.07.10刊行