◆第一句集
ヨットの帆色失へる遠さかな
沖へ出たヨットの帆は、もし晴天であれば紛れることはなかったであろうが、曇天で水天朦朧としていたが故に、白い帆も紛れてしまったのだ。そうした情景が、奥行きをもって余韻深く詠まれている。
(序・鈴木貞雄)
◆自選十句
茶の花を愛でて心の通ひけり
万蕾の泡立ちてきし古白梅
葉の包みきれざる母の柏餅
夏萩の蝶呼ぶほどに咲いてをり
閻王に睨まれてゐて涼しかり
ひと色はみづうみの色秋の虹
ヨットの帆色失へる遠さかな
のほほんと踏みし木の実の命かな
身に添ひぬ母の手織りの秋袷
をりしもの満月屋根に村歌舞伎
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[あいかわしま(1940〜)「若葉」同人]
序:鈴木貞雄
題字:相川仁男
装丁:君嶋真理子
四六判並製小口折カバー装グラシン巻
218頁
2019/3/5刊行