◆第六句集
短冊の天の二藍筆はじめ
「二藍」は日本古来の染色名で、若い頃に手がけた型絵染で関心を寄せた色の一つです。布地を先ず紅花で染め、その上に藍をかけたのが「二藍」ですが、その比率は、藍の淡い方が若年向き、紅の淡い方が壮年向きということが源氏物語にも記されています。
(あとがき)
◆自選十句
闇ながらほのかな春着明りかな
洗はれて硯にもどる濃むらさき
揺れごこち枕に通ふ宝船
渡殿を香のいざなふ雛館
筆澄めるたまづさよりの秋の声
手荷物のひとつを開き秋日傘
短冊の天の二藍筆はじめ
踏青や身にポケットの数知れず
白萩の走りの花のひと流れ
夜寒さや蟋蟀の字に虫めがね
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[やそめあいこ(1934〜)「廻廊」主宰、「香雨」同人]
装訂:杉山龍太
四六判ハードカバー装
206頁
2019/3/22刊行