◆ふらんす堂俳句叢書 現代俳句12人集
初恋のあとの永生き春満月
短い言葉によってこそ発揮される瞬発力へのあこがれは、次の一句への、絶望と背中合わせの期待を抱かせる。
待望の第三句集
◆収録作品より
考えると女で大人去年今年
高枝の疎を一月の深空かな
触れて銅鑼の音を鎮める雪もよい
蜜をわずかに山国の返り花
それとなく地球は回り春立つ此処
低く来る蝶の視力を考える
天井の上は他家なる心太
酢醤油や灯蛾から目が離せない
夏落葉どこに居ようと年をとる
雨月かな声を殺すとどきどきして
*
[いけだすみこ(1936〜)]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
186頁
2000.06.26刊行