◆第一句集
さくらの夜エンドロールの微熱かな
折からさくらが咲く夜の昂ぶりに今しがたまで見ていたドラマの余韻は「微熱」となって後を曳く。
千賀子俳句を読み感じる情感を喩えて表現するならば「エンドロールの微熱」のようだ。
(序・宮坂静生)
◆自選十三句より
春雪嶺木霊となれる子等の声
やすらぎて土に触るる日冬はじめ
薔薇芽吹く騎士は決闘免れず
種蒔やわが傍らのヘッセの書
自転車に下げる鶏冬の暮
大いなるメコンの濁り年暮るる
早春や三津の渡しに鴎乗り
北上川の燕となりて帰り来よ
流れゆく花も芥も輩に
翅音して父の来てゐる辰巳かな
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[せきちかこ(1948〜)「岳」同人]
序:宮坂静生
栞:小林貴子
装丁:君嶋真理子
四六判並製クータ・バインディング装
194頁
2019/2/6刊行