◆第一句集
うすぐもり散る儚さも花ごころ
「ホトトギス」高濱虚子先生の晩年の弟子に加えて頂いた亡き長兄の句に「初めての虚子庵にして初桜」があります。戦争の余波で亡くなった三人の兄達への思い、私の心の支えとなった俳句への想いをこめて句集を上梓することとなりました。
(著者)
◆自選十二句より
初日の出富嶽を染むる速さかな
闇少しゆるむ落花の一しきり
うすぐもり散る儚さも花ごころ
一花二花明日の待たるゝ蓮見橋
閉ざす葉に夜風は軽し合歓の花
汗滂沱気力の球の走りけり
行方も静かなる日々四葩みち
寡黙なる夫と分ちし月の椅子
落葉敷くこの石棺の語るもの
磴けはし高雄時雨に遇ひてなほ
ご本の紹介→
(ふらんす堂「編集日記」)
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[かわたまさこ(1931〜)]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
154頁
2018/12/25刊行