◆第三歌集
下山光悦の歌は、古典和歌の流麗なしらべを現代短歌に蘇らせた。だから、美も人生も、そして道も、探究できる。下山光悦の三十一音の定型詩は、大中寺に宿る「文化」そのものが発する歌声である。
(解題より・島内景二)
◆収録作品より
いみじくも幸の姿に開きをり一輪白き水仙の花
秘かにも美神隠るる気配して梅の末なる空見上げ立つ
総出して芋の子植うる大畑にかけ合ふ声は春野に響く
一茎の先に宇宙を捧げもつ賢き花を蓮と言へり
白南風は吹きて止まずもいかならむエーゲ海またアレキサンドリア
ビルの谷下り来たりし秋の風いづこにか去る八重洲 駅口
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[しもやまこうえつ]
解題:島内景二
挿画:畠中光享
写真:宗則和子
A5判ハードカバー装
266頁
2018/12/12刊行