◆ ふらんす堂俳句叢書現代俳句12人集 第十回配本
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<親鸞のはなし障子を貼りながら>
故郷のあの湖の景色や、住み馴れた宇治のこの山河の風景の色を、紺に籠めて何故か安心の私がいます。もし、齡に色があるとしたら紺でしょうか。
著者(あとがきより)
霾や幼死の兄のかほかたち
畦に火のあがる八十八夜かな
ずいずいと出して新茶の壺拭けり
比良山の水をくぐらす新牛蒡
盆花のほほづきを子の欲しがりぬ
ひとの恋たとへば蔓の通草引
末枯れてむらさきしきぶしどけなし
人麻呂の海を遠目に返り花
初みくじ結ぶ小さき風起たせ
装丁・君嶋真理子 四六判上製カバー装 181頁
●著者略歴
1931年(昭和6年3月29日)滋賀長浜に生る。1948年坂本春甕に師事、下村槐太を知る。1953年「鶴」入会。第十六回風切賞受賞。1974年「泉」入会創刊同人。第一回飛石賞受賞。「声」主宰。俳人協会評議員