◆時の流れにも耐えうる輝きを放つ睦子の世界
落葉してわが結界を解かれけり
睦子の作品について一言で表現をするのは難しい。それは何処かにも書いたように、何よりも彼女の精神世界の多様さによるのである。
◆収録作品より
耳あつれば幹を芽吹きへ昇る悲歌
幾十年も経った大木に寄って、その幹に耳を当てた事がおありだろうか。枝の先に燦めく日を浴びた幹からは、根元から上に向かって、勢いよく水の流れる音が聞こえる筈である。
それはまさに木の命を知る瞬間。幹は肌理が粗く温かく、頭上には葉の戦ぎと揺れる空の切れ端。幹を流れる音を聞けば、愛おしむ気持ちは直截に胸を浸すのだ。
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[とみやまたまえ]
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
196頁
2018/11/11刊行