第41回俳人協会賞本賞受賞!
◆ふらんす堂叢書12人集
お火焚の炎掴んで身に塗れり
大和は著者の魂のふるさとである。その地に移り住んで二年、日々仰ぐ生駒山は、益々俳句へのエネルギーをかきたてる。自在かつ雄渾なる詩精神が充溢した第七句集。
◆収録作品より
洗はれてゐて流されず蛇の衣
濃き墨はひかりて乾き雲の峰
薄暑なり水を離るる水音
白魚を汲む瓏銀の潮の色
空隠れしてゐるごとく残り雪
生駒山鳴れるごとくに日雷
狐火を知らず狐もまだ見ずと
神棚に鏡がひとつ糸を引く
月の道伊勢へと下り一途なる
どれかひとつはこのわたの握り飯
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[いばらきかずお(1939〜)「運河」主宰 「晨」「紫薇」同人]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
198頁
2001.06.21刊行