◆第一句集
短日や句会の椅子をたたむ音
省略の効いた簡潔な表現が、却って読者の想像をふくらませます。「短日や」の季語と切字の使い方も見事です。まさに俳句の骨法に適った作品と言えるでしょう。人間性と技量と。須藤さんの句の世界が更に深まってゆくことを願って止みません。
(序より・笹本千賀子)
◆自選十句
指先の衰へを知る夏みかん
母の影末席といふ涼しさに
放任の祖母の功罪休暇明く
ポストまで旅してきたる良夜かな
猪除けの網廻らして草の畑
蜩に夫を預けて来たりけり
起重機の余寒つり上げ傾きぬ
山笑ふ里にフランス料理店
月もまた赤信号に停まりゐて
鳥おどし連発山を総立ちに
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[すどうももよ(1937〜)]
序:笹本千賀子
装丁:君嶋真理子
四六判ソフトカバー装グラシン巻
198頁
2018/10/23刊行