◆ふらんす堂俳句叢書 現代俳句12人集
山国の闇ごつごつと青胡桃
自然と共に在ること、とりわけ土と共にあることへの想いがつねに脳裏にあった。姿や形など不確かであるが、どこかに漂っている精気のごときもの、土地の精霊にこだわってきた。
◆収録作品より
人間の惑星鳥がはこぶ春
山からの光あつめて雛の家
朝桜空のさざなみ暗くあり
山国の空を濡らして山桜
四月の海に会う根府川駅を過ぎ
春の詩神来る朝光の波間より
海より来て鰆一滴の血をながす
春の渚をまっすぐに来る異邦人
木の上の人春空にふれており
麦の秋巨人は西へ去りゆけり
*
[さかいこうじ(1938〜)「朱夏」主宰]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
248頁
2000.08.25刊行