◆第一句集
門辺までひとを送りて夜の秋
晩夏にあって夜は秋めく気配という「夜の秋」の季語が動かない。二人の関係もドラマのように連想させる。
日本語を正しく用い、一読して意味がわかる、姿の美しい句が多く、読んでいて楽しかった。
(帯より・鷹羽狩行)
◆藤井圀彦抄出
麦踏みの折り返すたび目を遠く
ためらひのなき清しさよ今年竹
朝顔や家事に先んじ書く返書
気のゆるび見抜かれしごと寒戻り
赤とんぼついと発たせて葉の揺れず
やはらかな息もて冷ます薺粥
春愁や安楽椅子に深く掛け
底紅や苦言ひとことさりげなく
かはせみを待つ少年の眼かな
雲あらば雲をうべなひ今日の月
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[高橋悦子(1943〜)「狩」同人]
序句・鑑賞十句・帯:鷹羽狩行
跋・藤井圀彦
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
214頁
2018/10/11刊行