◆第一句集
麦の芽の風に逆らふ力あり
秋に蒔かれた麦が一月になると春草のように畑にあざやかに青い芽を出し、折からの寒風に萎えることなく自然に向かう力に着目した。確かな写実の眼と独自の感性をたたみこんだ句である。
(序より・能村研三)
◆自選十句
雪降るや空気しづかに重くなる
濁流のゑぐる力よ雪解光
初蝶に山野浮き立つひかりかな
渦むすび渦をゆるめて春の水
花冷の息整ふる一の弓
武蔵野の沸点桜ふぶきかな
トマトのやうな笑顔で負けず嫌ひなり
クリスタルの水飲める国小鳥来る
泣くことが言葉よ烏瓜まつ赤
原始鳥類の骨かと蓮の枯れきつて
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[うちやまかよう(1943〜)「草紅葉」「沖」同人]
序:能村研三
跋:吉田政江
装丁:和兎
四六判上装カバー装
254頁
2018/9/25刊行