◆第一詩集
無造作そうでいて勘所はしっかりと押さえて、自他の感情を大切にする。生きてきた時間を感じさせながら、それに縛られていない。まさに地に立ちながら空を飛んでいるという離れ技をやってのけている痛快な詩集だ。
(栞より・福間健二)
町並みと空気とコトバと髪の毛と、すべてのものが溶け合いながら外に広がっていく、カラダが常に呼吸している、それが小松宏佳にとっては重要なのだ。そこでは時間が空間化され、空間が時間化され、周囲の人間に親しい犬や猫や、花鳥風月が首飾りの糸となって、どちらが彼女であるか見分けがつかないほどに自由な時空が、出現している。
(栞より・笠井叡)
◆収録作品より
どこにいても日が暮れる。
お寺の鐘が鳴り、カラスは一緒に帰りましょう、と啼く。
日の暮れと鐘とカラスは、わたしの身に起きた母という箱を見送る。
ときに、高速道路の高架下に、ながい横断歩道があった。
(「おおきなへや」より)
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[こまつひろか]
栞:福間健二・笠井叡
装画:小松宏佳
挿画:著者
装丁:和兎
四六判ペーパーバックスタイル
92頁
2018/09/25刊行