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◆ 第一句集
「路地を這ふ一筋の水クリスマス」路地から這い出した一筋の水は、心を寄せ合って暮す庶民の暮らしの水である。その一筋の水の光は神の祝福であるかのように光を放っているのである。なんでもない日常の景が「クリスマス」という季語によって大きく膨らみ、幸福感さえもたらしているのである。(序より村上喜代子)
食券のうらは水色つばめ来る
起重機の吊り上げさうな躑躅山
太宰忌や本のカバーをかけますか
その先の水を掴んで泳ぎきる
行き合ひの空より日照雨藍の花
子規庵に土蔵が残りちんちろりん
かりがねやひたすら屋根を塗つてをり
花柊言ひたきことを少しだけ
路地を這ふ一筋の水クリスマス
花種を蒔き誕辰を過ごしけり
「いには」同人 (1935〜)
定価 本体2762円+税=2900円
序文・村上喜代子
装丁・君嶋真理子
四六判フランス装函入り
192頁 2007.04.25刊行