◆第二句集
冬めくや雨に梯子の残されて
句集名は集中の一句に拠りますが、こうしてみると、あの時出合った梯子がまた違った貌でこちらを見ているような気持ちになります。気付かなければそのまま忘れ去られてゆくもの。この世はそのようなもので溢れています。
(あとがきより)
◆収録作品より
蚕豆の転がりさうもなき形
風薫る虫の翅音のこがねいろ
水打つて戻れば一人消えてをり
汗の引くまで葉のそよぎ聞いてゐる
向日葵を照らす夜汽車の長さかな
爽やかにドレスの裾を持つ役目
町ぢゆうの仮名拾ひ読む春着の子
ががんぼを見し夜の腓返りかな
マスクしてほのぼのとある眉間かな
草もみぢ息をするたび人古び
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[つげふみこ(1952〜)「ふう」同人]
装丁:和兎
四六判並装(クータ・バインディング)
2018/7/24刊行
184頁