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◆ 第一句集
一燭の技芸天女に春暮るる
あれは畝傍これは耳成げんげん野
藤咲いて救世観音の開扉あり
これらは、その従兄弟会に参加した折りのもの。古都奈良の闌けゆく春の句をもって巻尾を飾り、集名に相応しい余韻をもたらしています。大門さんの俳句は、「蘭」の抒情の正統を確かに伝えてくれています。(跋・藤山八江)
○自選一〇句
こゑごゑに暮色を負ひ来冬の雁
どこからも塔見ゆる町燕の子
舫ひ舟棹やすめある涼しさよ
十一や旅人われに朝の彌撒
窯出しの壺や茶碗や鶴引けり
桜?沙汰なきひとをふと思ひ
母はまたその母恋へり蚊遣香
ぽつたりと鶯来たる雨のあと
ふるさとは柿の照るころ墳山も
藤咲いて救世観音の開扉あり
「蘭」同人
定価 本体2700円+税=2571円
序文・きくちつねこ 跋文・藤山八江
装丁・君嶋真理子
四六判フランス装
248頁 2007.02.05刊行