◆第一句集『夏のゆくへ』(1982年刊)を復刻新装版として刊行
節子さんは開放的な人なので、心の中の喜怒哀楽、身辺の出来ごとなどすべてそのまま吐き出して決して粉飾したりしない。それでいながら境涯俳句のようにじめじめしないのは心の奥がからりとしているからであろう。
(序より・能村登四郎)
◆収録作品より
薪束の胴締め寒のにはかなり
立ちくらみしてシクラメン濃さを増す
たんぽぽの絮の一つが部屋に棲む
蛙鳴く田を知つてゐる子の熟睡
寒潮に沿ひ一本の道乾く
物書けとみどりの届く一机あり
いんいんと野を焼く背中ばかり見せ
氷店間口のかぎり海抱いて
正座して大きさ加ふ冬の父
受験子の飲食の影大いなる
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[すずきせつこ(1932〜)「門」主宰]
序:能村登四郎
跋:林翔
装丁:君嶋真理子
四六判変型ソフトカバー装
144頁
2018/4/15刊行