◆第一句集
蜘蛛はまだ頑張るつもり十月尽
「まだ頑張るつもり」と平常語で言って退けた表現が、作者の境涯と合せて、どこか人の心を揺するものである。「蜘蛛でさえ頑張っているのに」とは対象が蜘蛛だけに、非力であってしかも強力。
(序より・山本英子)
◆自選十二句より
押し寄せてまだ冬雲でありにけり
鳴き声の囀となる高さかな
紋白蝶上着脱ぎたくなりにけり
彼岸会や母の残せし物を着て
御祈禱の済みし福豆買ひにけり
生きるとは罪増やすこと蚯蚓鳴く
精米所覗いてゐたる雀の子
春北風背中降参してをりぬ
秋高し地図を片手の映画村
浮寝鳥見てきし己不確かに
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[こかじのぶよ(1933〜)「初蝶」同人]
序:山本英子
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
172頁
2018/3/16刊行