◆第一句集
囀や待合室はサロン・ド・老
この人の〝作風〟を一言で言えば〝自然詠〟というよりは人事を通しての〝人生詠〟であろうか。「医術は仁術也」というように単に患部を改善、治すということだけでなく、人々に喜びと希望を与えてきた人だけに、人間の心理を読む洞察力の深さを感じる句が多い。そして特筆すべきは、ウィットを兼ね備えていることだ。
(序文より・中原道夫)
◆自選十五句より
立春や卵を立ててみせるぢぢ
朧月春画の趾はみな屈る
余生には琴棋書画ある日永かな
老い晒すことの序でや更衣
蒙古斑夏の海へと溶けにけり
かはほりの数殖えてきて母の声
酔芙蓉しぼまぬ内の老い支度
薪能闇を支へる蛙股
能果ててちちろと席を入れかはる
こんなにも尽したはずの秋扇
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(ふらんす堂「編集日記」)
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[すずきすう(1939〜)「銀化」同人]
序:中原道夫
跋:大月光勲
装丁:中原道夫
菊判変型ハードカバー装
228頁
2018/2/20刊行