◆第一句集
山茶花や書斎は在りし日のままに
亡きご主人の書斎である。机の上にはペンも、カレンダーも、すべてかつての日のままなのである。庭には生前故人がことさら好みとしていた山茶花の花が咲いている。通じて亡夫追慕の心根をしみじみと味わいとることができる。
(序より・山崎ひさを)
◆自選十五句より
万年青の実長寿の父を敬へり
遠き日や五右衛門風呂に柚子あまた
母の忌に集ふ姉妹や花ゆすら
夏大根辛し亡き師の教へ守り
旅遠し泉にコイン投げ入れて
百歳の父と御慶を交はしけり
喪の庭に百の椿の落ちにけり
窯出しの壺の貫入音涼し
九歳の正座の記憶終戦日
正午指す針に蜻蛉や花時計
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[おしおきよみ(1943〜)「青山」同人]
序・題簽:山崎ひさを
装丁:君嶋真理子
四六判ソフトカバー装グラシン巻
172頁
2017/12/18刊行