◆第一句集
箱庭に加へて富士の石ひとつ
富士山で拾って来た石か。その小石を富士に見立てて、箱庭に加えたのだろう。
いずれも物を見る角度が個性的で発見があり、俳句は詩であることが示されている。
(帯より・鷹羽狩行)
◆梅田ひろし抄出
梅探る古墳の奥にまた古墳
声で身を奮ひ立たせて揚雲雀
藤房を揺らして重くなりし風
咲き盛るものを閉ぢ込め花氷
覇者敗者汗の手しかと握りあふ
緑蔭に展げ新居の設計図
いわし雲母なき里の遠くなり
落日を背負ひて帰る花野かな
歪むもの一本もなし崖氷柱
太梁のやうな一の字筆始
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[たかはしひろこ(1943〜)「狩」同人]
序句・鑑賞七句・帯:鷹羽狩行
跋:梅田ひろし
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
204頁
2017/10/28刊行