◆第三歌集
これからは生き切ることが目的と言ふ奴をりて面白からず
ミルクティ飲みつつ言ふかごもつとも わたしは自堕落補陀落でゆく
五人の娘も巣立ち、夕映えの見える高層階に引越した著者。
伴侶と過ごす日々と折々の旅を詠う。中でも、海彼の仏教美術や
ヒンドゥー美術に触れる旅は目の醒めるような体験であったにちがいない。
◆収録作品より
萼の付く干しほほづきは食用に埃かむりてインドに売らる
猥雑の現世インドはなほいだくサールナートの砂岩の仏陀
太柱まるごと岩より彫り出され四隅にたかくガネーシャ笑まふ
バッグよりひよろりと長いガンジーの鋳物突き出て運ばれてゆく
Amazonでの本の購入はこちらより→ Amazon
*
[のいしきようこ(1947〜)「五〇番地短歌会」「十月会」「横浜歌人会」会員]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
236頁
2017/11/26刊行