◆第二句集
人を呼ぶ手の中にあり蕗の薹
俳句という詩型が、一見なんの起伏もない私たちの日常の中に、実は限りなく感動や不思議があるのだということに気づかせてくれる。
『たう』は、そのことを教えてくれる句集だと思う。
(栞より・石田郷子)
◆自選十句
みづうみの水減つてゐる野菊かな
種池やまばたきほどの波生まれ
虫売の横にさつきの子が屈む
ひとりとは先生のこと霜柱
見覚えの日だまりのある野菊かな
人を呼ぶ手の中にあり蕗の薹
風よりも水にふるへる稲の花
人形のやうに腰かけ海の日よ
こだましてゐるや九月の扇風機
なで肩のいまもなで肩みなみかぜ
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[いちかわとうこ(1969〜)「椋」会員]
栞:石田郷子
装丁:君嶋真理子
四六判変形上製薄表紙カバー装
174頁
2017/10/5刊行