◆第一句集
雁渡し諷経とよもす羅漢沢
たくさんの羅漢が経を読み、その声が増幅して谷間全体に響き渡るように作者には感じられたのだ。見えないもの、聞こえないものを心で感じ取れる作者の感性の豊かさを思う。
(佐怒賀正美)
◆佐怒賀正美選
銀河より寄するさざ波大鳥居
北風やゐぐね悲憤のこゑあぐる
どべつこの香に酔ひたるかおしら様
揺れ強き余震に竦む蟇
凌霄やあなた任せになどできぬ
蟇よわれ悄気て泣いてなどをらぬ
津浪禍の牡蠣田守りをる幼どち
統合の被災の母校鳥渡る
雁渡し諷経とよもす羅漢沢
忙中の閑のアルパカ膝毛布
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[こんちづこ(1945〜)「秋」同人]
序:佐怒賀正美
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
234頁
2017/08/1刊行