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◆ 第二句集
「荷風忌の女身くるりと翻る」坂田さんの俳句には、大正生まれの女の矜持が感じられる。発想は自在だが、歯切れのよい物言いで、一句一句が背筋を伸ばしているのだ。それらが奏でる韻律に耳を澄ませば、坂田さんの生まれ育った甲斐の山河の響きが聞こえるだろう。すがすがしい句集である。(帯・小川軽舟)
●自選一〇句
回想の中ふらここはいつも夜
雁行くや紙の真白にあるうれひ
縞帳の縞の名亀の鳴きにけり
郭公や考ふる椅子憶ふ窓
合歓の花晩?の耳熱くあり
月今宵李白に杜甫に侍りたし
紅茸に粗末なこゑの通るなり
湖西より湖北明るし初時雨
霧負ひて猟夫の来たる夕灯
道までの敷藁しろし年用意
「鷹」同人 (1923〜)
定価 本体2857円+税=3000円
帯・小川軽舟
装丁・君嶋真理子
四六判上製函入り総クロス装
224頁 2007.05.24刊行