◆第二詩画集
おおげさな亜麻色の雨に
目をつむると六角形のポストに
ぶつかって
はりついていた封筒が
とびでてくる 三年前に投函した
差出人は犬と枯れ葉を踏んで
枝道にまよいこみこのポストに
寝泊まりした形跡がある
徒労におわっても 二百回は
読みたいと思う次のバカンスに
持ってゆく本をおしえたくなって
封筒を金色のくちばしで開けてみる
雨雲はサッシを開けさせまいと
もたれかかってくる コンテナを
組み合わせたバザールでは商人たちが
下見をしている 埋まるような枯れ葉の
森で手紙を渡す約束を交わして
階段したの枯れ葉を舞い上がらせる
/「六角形あるいは八角のポストに入っていた枯れ葉について」より
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[なかむらてつや]
装画・イラスト:なかむらてつや
装丁:和兎
A5判フランス装グラシン巻
164頁
2017.7.7刊行