◆第一句集
朴の花遠き山へと雲流れ
気宇壮大で志の高い句である。「朴」一字という潔さもこの句集の特色をよく表わしていよう。朴は花のみならず、若葉、青葉、さらに落葉等、季節を問わず俳人の格好の句材となっている。一集を総括する題としてまことに相応しい。
(序より・村上喜代子)
◆自選十二句より
今はまだ花でありたる落椿
格別のことなき一日麦の秋
白波のくだけるたびに千鳥吐く
一月の山泰然と世に立ちぬ
春暁や昨日入居の家に音
三伏や首をかしげて観るピカソ
耕すや火の山吐きし石の数
福耳の淋しき人や桐の花
思ひ切り嘘が書きたく日記買ふ
喪服には喪服の歩幅白木槿
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[なかむらしげお(1935〜)「いには」同人]
序:村上喜代子
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
188頁
2017/6/24刊行