◆第一句集
鮎釣の所を変へて深みへと
囮鮎を使った鮎釣が、川の中央の深いところへ足場を変える時の描写である。作られて見ると何の技巧もないようであるが、中七から下五への言葉の使い方は、句作を重ねて熟練して得られる技なのである。
(序より・深見けん二)
◆自選十句
日月の寧らか梅雨は書に耽り
経止みてしばし人声春障子
まつすぐにふはりと落ちぬ合歓の花
祝はるる背の傍らにゐて涼し
しわしわと波に伸びけり今日の月
撫で牛の角の先まで暖かし
蛇笏賞の師と行く春を惜しみけり
吹き晴れてまたなき空や青邨忌
癒えて来し夫と見上ぐる朝桜
蕊飾る朝日の雫曼珠沙華
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[すずきせいこ「天為」同人、「花鳥来」「雨蛙」「都庁俳句会」所属]
序:深見けん二
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装グラシン巻
180頁
2017/4/27刊行