◆第一句集
ひたすらに紐組み花の過ぎにけり
技巧は必要がないと思わせられるほど外連味がない。組紐という特異な句材を、万里子さんは当事者の視点で、力むことなく色付けすることなく描いた。万里子さんの体には今も組紐が染みついている。
(跋より・小田玲子)
◆自選十二句より
表札は横文字花も海も見ゆ
斎王の輿ゆつくりと青田中
吾が歳の母を知らざり初鏡
白黒の映画見てゐるちやんちやんこ
ひたすらに紐組み花の過ぎにけり
銀杏黄葉飛び発つやうに散りにけり
父の日や生まれし日より父似なる
羅の袖がふはりと琵琶を弾く
颱風の前の静けさ爪を切る
ベビーカー毛布の少し動きけり
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[ふじもりまりこ(1939〜)「百鳥」同人]
序句:大串章
跋:小田玲子
装画:黒木美希
装丁:和兎
四六判ハードカバー装
220頁
2017/3/30刊行