◆第ニ句集
わが余白埋めたし万朶の花仰ぎ
日々、一句の奥に何を求めるのかを問いながら、ひたすら即物具象の写生を心がけて参りました。この後も、ゆたかな四季の移ろいを感じつつ余白を埋めて行けたら幸いと存じます。
(あとがきより)
◆自選十句
おだやかな海見て足りぬ三が日
人日の黒猫路地の日を恋ふる
日の斑浴ぶふらここ少し揺らしては
バッファローの毛を毟りとぶ巣組鳥
檸檬の木けふの揚羽を放ちたり
原爆忌振りても消えぬマッチの火
一日を竹伐る音の中にをり
セスナ機の窓を霧とぶ夜明けかな
葦を刈るみづうみに月昇るまで
寄するより引く波音の冬めきぬ
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[すずきちえこ(1929〜)「万象」「りいの」同人]
挿画:鈴木久子
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装カバー装
208頁
2017/3/3刊行