◆第三句集
逝く人に大いなる闇白鳥座
郡上踊の灯りを包み込むようだった大きな闇を思い出しながら、郡上からさらに数多の山々を隔てた飛驒の深い闇を心に描く。闇から生まれて闇に帰る人間本来の姿が神々しく詠われた名句である。
(序より・小川軽舟)
◆小川軽舟抄出
夕ざくら屋台囃子の曳き分かる
ゆづられし席浅く掛く花の旅
子と吹けば明日が見ゆる石鹼玉
坊守を悼む雪沓十重二十重
寒山の破顔一笑冬の梨
蟻と蟻耳打ちすまし擦れちがふ
白き象耳持て哭ける涅槃絵図
夏燕相思の羽をひるがへす
美しき落し文あり夕日坂
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[かめやまうたこ「鷹」同人(1929〜)]
序:小川軽舟
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装カバー装
176頁
2017/2/25刊行