◆第四句集
遠祖は一領具足植田守る
大野林火先生は、還暦を迎えるに当たり、如何に老いるかを命題とし、七十代には、如何に死ぬかを命題にされたという。私の場合は命題というほどではないが、この間、巡り来る齢を大事に、明日への夢を失わず、日日を生きようという思いが強かった。これが延いては、如何に老いるかに繫がるのではないかと思う。(著者)
◆自選十句
白鳥来銀河を発ちて来しごとく
子鎌切風を摑みて飛び立てり
鵜と心通はす烏帽子被りたる
春の雪真珠の育つ海に降る
幼帝の陵に降る木の実かな
夜神楽の帰りの道の怖ろしき
風鈴の音競はせて売りに来る
これよりの未知の八十路や初山河
巫女舞の鈴より木の芽動き出す
管絃祭ぐんぐん潮の差し来たる
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[まつだゆうし(1934〜)「百鳥」同人]
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
196頁
2017/2/20刊行