◆第二句集
春は泡鯉の口より生まれ出て
井田さんは感性の作家です。自身のアンテナに触れたものをことばに変えて、俳句を詠み続けて来ました。「春は泡」と端的かつ詩的に表現したこの作品の誕生の場に居合わせたことを幸福に思います。
(跋より・笹本千賀子)
◆自選十句より
老い母に蛇の冬眠少し欲し
蜆汁近江はまこと匂やかな
遠い木のやうに子のゐる弥生かな
春は泡鯉の口より生まれ出て
やはらかに痛き日を来て成人す
割烹着脱ぐやうにしてチューリップ
毎日が毎日ひらく梅の花
さらさらと今をこぼして母は花
蝉の森きれいな耳になつてゆく
縫ひ物の淋しさコスモス俯いて
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[いだみちよ(1957〜)「燕俳句会」所属]
跋:笹本千賀子
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装グラシン巻
186頁
2017/2/17刊行