◆第一句集
降りだして樹冠かがよふ鳥の恋
万葉の息吹の復興によって近代短歌の道を切り拓いたアララギ派の調べが、俳句の詩型にかなった工夫とある種のつつしみをもって五七五に結実する、それがこの句であり、ひいては中嶋さんの俳句全体の基底なのだと私は考えている。
(序より・小川軽舟)
◆小川軽舟抄出十句
三鬼読む水色のシャツ汗ばめる
風花や鳥の眼にうつる淵
降りだして樹冠かがよふ鳥の恋
稲の花夢のとほりの道に出し
夜降ちに鳥の鋭声や火恋し
雲割つてあかがねの日や猟始
風花や月光荘に買ふ絵筆
鉈打ちて樺水噴く立夏かな
潮待の船に星降るマッフかな
寂しめばふゆる綿虫空知川
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[なかしまゆき(1954〜)「鷹」同人]
序:小川軽舟
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装
184頁
2016/09/22刊行