◆第一句集
われと古る百科事典や夜の秋
生きてきた時代への郷愁をほのかに香らせながら、若さと静かに別れてゆく時間の陰影が一句一句に移ろう印象がある。帆刈さんもこんな実感を抱くようになったのかと感慨深かった。(序より・小川軽舟)
◆自選十句より
畳の目細やかに秋立ちにけり
ポケットの焼栗自由にして孤独
扉を押せば枯園へ楽あふれ出づ
カナリアの黄や橙や秋の風
後添になりしと聞きし夏の月
われと古る百科事典や夜の秋
黒板の歌詞にうたへり聖五月
雀らにけふの糧あり草の絮
芝に影落として秋の行きにけり
いそしみて干潟の時間雲移る
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[ほかりゆき(1965〜)「鷹」同人]
序文:小川軽舟
栞:神野紗希
装丁:和兎
四六判変形半上製カバー装
200頁
2016/9/22刊行