◆第一句集
枯野ゆく的を外れし矢のごとく
人生にはこのような境遇になることもあり、俳号「折矢」とも通じるようだ。
俳句は詩であることを踏まえ、自由自在に展開していて見事である。
(帯より・鷹羽狩行)
◆自選十句
蝶を追ひかけて見知らぬ少女来る
草笛のきのふと同じ少年か
黄落や同じ本もつ人と会ひ
白鳥来新譜の届きたるやうに
人許すための時とも雪の夜
枯野ゆく的を外れし矢のごとく
一輪となるまで拾ひ桜貝
堰を切ること涙にも桜にも
返答を求めざる問ひ螢の夜
男波より女波にかはり十三夜
*
[なかむらせつや(1967〜)「狩」同人]
序句・帯:鷹羽狩行
跋文:田中春生
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
204頁
2016/09/22刊行