◆第一句集
葉ざくらのふれあふ音となりにけり
入学の時の桜も散って、通学路は葉桜に蔽われる。涼しさを音で捉えた。
いずれも発想と、過不足のない表現とが見事に合致していて、調べも美しい作風の一巻である。
(帯より・鷹羽狩行)
◆鈴木伊都子抽出
その奥の奥にも揚がり凧日和
春愁や貝の化石に貝の艶
レガッタのオール揃ひて翼なす
砂の上すべりゆく砂風の秋
父と子の手形を春の雪の上
青空を広げるやうに枝払ふ
ふと思ひ立ちて二階へ朝ざくら
菖蒲田の日暮は白をふやしけり
見覚えの山やがて橋盆帰省
新涼やワイングラスの拭けば鳴り
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[いしかわのぶよし(1944〜)「狩」同人]
序句・鑑賞九句・帯:鷹羽狩行
跋:鈴木伊都子
装丁:君嶋真理子
四六判ハードカバー装
206頁
2016/08/31刊行