◆第一句集
蜥蜴跳ぶ一閃といふ美しきもの
どの句にも慈愛の気持ちが流れているし、作り方が大胆である。小動物にも植物にも心を通わせ、その本質を見事に詩的に表現している。
(跋より・守屋明俊)
◆自選十二句より
電車快走カーブの先に春の海
発破音轟かせては山笑ふ
散る花のくの字くの字の機嫌かな
暑し暑し氷河声あげ崩れゆく
清張の黒き日本史鵙哮る
やや寒の空耳に聞く画家の声
秋薔薇母娘の声のそつくりに
無患子の実の高々と子は青春
吟行の一人も楽し烏瓜
トナカイをはづし五つに聖菓切る
*
[ふくいよしの(1944〜)「未来図」所属]
序句:鍵和田秞子
跋・守屋明俊
装丁:君嶋真理子
四六判並製小口折表紙
206頁
2016/7/21刊行