◆ 第二歌集
この度、『白露集』から十三年をへて、やうやく第二歌集の上梓にこぎつけることができました。その間には、多作の年もあれば寡作の年もあり、かうして編み終ってみれば、五十代の私の素顔そのままの歌日記のやうです。
かつて、駿河梅花文化賞の選者を勤めて下さってゐた頃の春日井建氏が「私はどんな歌でも受け入れることができます」と言って下さったことは、なにより私の歌づくりの勵みになりました。
もし、先行の『白露集』に比べて、この度の家集になんらかの変化が見られるとすれば、それはおそらく、私のこの十余年の日々がそれまでよりかなり波乱に富んだものだったからでせう。
しかし、歌は波立ってゐた水が澄んでいくやうに、そんな私のやり場のない悲しみや苦しみを鎮め、慰め、鼓舞してくれました。おかげで、私は今更ながら、わが国の文化の中に和歌といふ伝統的な表現が承け渡されてゐることを幸せだ、と思はずにはゐられませんでした。
(あとがき)
私家版
装画・畠中光享
A5判上製カバー装
224頁
200712.22刊行