◆第一句集
水底は静まりゐたり春一番
地上の大荒れが、水中は逆に静かであるという対比によって、強調された。
このように臨場感のある表現によって、その場の感動を直に伝えてくる句集である。
(帯より・鷹羽狩行)
◆藤本朝海抄出句より
全身で笑ふみどり児日脚伸ぶ
人数の割に賑やか梅探る
六甲を楯となす村稲の秋
思ひ草ひしめき合ひて影持たず
照らされて火の粉となりぬ牡丹雪
新雪に木々は枝々差し伸べて
身に入むや適塾席次名簿表
涙拭くときにも使ひ汗ぬぐひ
来年のことはともかく種を採る
故郷の青田に勝る青田なし
*
[つねざわあつこ(1947〜)「狩」同人]
序句・鑑賞五句・帯文:鷹羽狩行
跋:藤本朝海
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
204頁
2016/6/29刊行