◆第一句集
名月やはばたくものを籠の中
五十有余年の作品を厳選し、句集『心月』にはわずか百句。私どもは一句一句と静かに向き合い、その醍醐味に浸りたい。
(序より・田島和生)
◆収録作品より
初硯山の明かりといふべけれ
お降りや杉の青さの中を降る
藪山に籠りしものの初音かな
刀研ぐ梅一輪の日和かな
観音を守る四五戸や麦の秋
麦秋や毛針作りをひもすがら
初秋の雲はすかひに町とほる
青栗の透けて青年山を継ぐ
木枯や日暮れてひかる水たまり
石蕗の花にやすらふ旅寝かな
*
[あきしのみつひろ(1940〜)「朝鳥」主宰]
序:田島和生
装丁:和兎
四六判上製カバー装
124頁
2016/06/01刊行