◆第二句集
二つ三つ底値拾つて春を待つ
町の株屋さんにしては慎重派。余裕と言えば余裕だが、春を待つ明るさ。二つ三つに春の山も動く、ここに俳人。俳句即生活。
(初蝶 平成二六年四月号より)
◆自選十二句より
老いてなほ夢はでつかく牡丹の芽
マイセンにワインを少し春の月
子の背ナが大きく見えて鳥雲に
夏草や夢追ひ人と人の言ふ
一日を余さず生きて一夜酒
身のどこか酒残りゐる残暑かな
ゴーヤ苦しもうあと一句まだ一句
顔出して先のことなど零余子飯
ヨガ終へてけふの残りをましら酒
夢覚めて乗り損ねたる宝船
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[いなおさむ(1950〜)「初蝶」同人]
帯:小笠原和男
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
194頁
2016/06/01刊行