◆第一句集
洛陽の汗の沁みたる紙幣かな
私はこの句集『沙漠の舟』の圧巻は中国旅吟であると思う。中国のように神話があり、歴史があり、シルクロードのようなロマンがあり、更に文化芸術の豊かな地は、はま子さんの詩精神を躍動させてくれるのである。(序より・有馬朗人)
◆自選十二句より
父送る樫の木までの鰯雲
ガレの洋灯とそつくりな毒茸
種切となる手品師の冬帽子
白梟一等星の目をひらく
風光る伊達紋章の蟹牡丹
青き踏むこの弾力こそ地球
四万六千日の子猫を拾ひけり
少年にポケットいくつ甲虫
編鐘は周の音階鳥雲に
草笛を吹き孔明の廟を守る
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[にしわきはまこ(1941〜)「天為」同人]
序・有馬朗人
栞・対馬康子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
188頁
2016/06/01刊行