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◆ 第二句集
「耳の穴ほじくり秋の風とほす」つねこ主宰のご欠席がちの東京句会は淋しかったが、俳句を愛好する方々の熱心さは衰えず、句会にはみな真摯な姿勢で向き合ってきた。浪川さんの句が披講されると、好意と共感のくすくす笑いの声がさざなみのように広がったものだった。その笑い声の美しさに、私は救いのような喜びを感じた。
(松浦加古)
自選一〇句
餅焼くや奇跡にも似て生き延びし
春の雪猫がわが指甘噛みす
雑踏を誰とも遇はず秋の風
凩や空母のごとく妻が座す
地図跨ぐやうに涸川わたりゆく
黴の書を積み替へ過去は変へられず
吊橋のかげろふに吸ひ込まれ行く
旅に行きたし風船をふくらまし
炉の灰を均して屋根の雪感ず
むかし見し将来にゐて青あらし
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「蘭」同人(1926〜)]
定価 本体2190円+税=2300円
跋文・松浦加古
装丁・君嶋真理子
四六判並製ソフトカバー
200頁
2007.01.19刊行