◆第三句集
春風のように「俳」の世界に戯れては、今生のかなしみをつぶやいている。大波さんは、遊子なのである。(帯より・長嶺千晶)
◆自選十句
父の日の水は豊かに流れけり
初刷の大の一字の碧さかな
わが住まひ見ゆる墓なり洗ひけり
それぞれの家を追はるる鬼の数
河童忌や奇巌怪石みな濡れて
冬凪や島影ひとつひとつ置き
余震なほやまぬ峠の初音かな
福島の子の「ひかり」てふ筆始
七年の句座の別れや冷奴
丘に立ち港の天の高きこと
*
[さかいのだいは(1937〜)「椋」所属]
帯・長嶺千晶
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
178頁
2016/03/03刊行