◆第一句集
はぐれたる蜻蛉一匹吾と往く
窓を開けると一匹の蜻蛉が舞い込んできた。その瞬間に私の頭に五七五のリズムで詩が生まれた。これが私の俳句への関りの始まりである。(あとがきより)
◆収録作品より
暖かし己が掌を観る占師
たらちねの胸にゐる夢朝寝かな
原爆忌つと茶柱の沈みゆく
昼寝覚め現にもどす伸びひとつ
黄落や二階バス行くお濠端
毬栗を踏めばふる里鳴動す
天狼やテロ止まぬ地へ兵征くと
福茶汲む女房の深き笑ひ皺
鳶の輪の三つ四つ五つ春岬
ビルの上の月まん丸や空襲忌
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[おおのすろう(1934〜)「春嶺」所属]
装丁:和兎
四六判ペーパーバック
92頁
2016/02/02刊行