◆第二句集
あの嶺はかつて登りし草いきれ
迪子さんとは中学生の時からの親友だ。あれから五十余年、俳句を始めてから二十八年、迪子さんのひたすらさは少しも変わらず、くっきりとした『沓あと』がここにある。(帯より・辻桃子)
◆自選十三句より
花人のほろほろ酔うて磯づたひ
優曇華に雨や早めに灯ともして
山容のどつしり現れて井水増す
梅雨鯰貧しき面でありにけり
終電に男女駆け込む近松忌
ちようろぎや最後に母の酔ひたまふ
かつて琥珀流れ着きしと雪女郎
地吹雪やけむりのやうに人あゆみ
沓跡はまつすぐ神へ木の根開く
余り湯の混じる雪しろ濁りかな
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[たなかみちこ(1945〜)「童子」同人]
栞:安部元気
帯:辻桃子
装丁:和兎
四六判上製カバー装
163頁
2016/02/14刊行