◆第一句集
大蟻の思考回路を見てゐたる
驚きや発見が素直に俳句に出ているのが良い。作品を読むと、発見のよろこびが伝わってくる。(序より・津川絵理子)
野焼してきびしき山河生れにけり
千寿子さんの真摯な眼差しが描き出す自然の姿には、凛々とした丈高いひびきが通う。(序より・村上鞆彦)
◆本書より十句
梅一斗干してたつきの薫りけり
翅閉ぢて蝶梅雨深きものとなる
藁塚の影うばひたる吹雪かな
野焼してきびしき山河生れにけり
瀞下る舟に薫風をどりけり
水門を出でて夏潮たらんとす
紅梅に足りしまなざし白梅へ
黄バラ白バラピアノ教室開きます
音たててレモン沁み入る焼秋刀魚
青蔦や一木に風登りゆく
*
[むろちずこ(1933〜)「南風雪月集」同人]
序:津川絵理子・村上鞆彦
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
218頁
2016/01/21刊行